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久保田徹(慶應大学)作品「ひどすぎる現状届けたかった」軍に潰された思い

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ミャンマー・ヤンゴンで国軍に身柄を拘束された慶應義塾大学出身のカメラマン久保田徹(クボタ・トオル)さん。久保田徹さんは、大学在学中からミャンマーのロヒンギャを取材し、数々の貴重な映像作品を制作しています。

久保田徹さんの作品を画像や動画も参考にして迫ります。

久保田徹さんの作品「慶応大学在学中から活動」

久保田徹さんは、神奈川県横浜市出身の26歳。慶應義塾大学在学中の2014年から、ミャンマーの少数民族ロヒンギャの難民への取材を開始しました。また、その頃同時にドキュメンタリー制作を始めています。

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久保田さん個人サイトの写真

ロヒンギャ難民は、ミャンマーの中でも迫害を受けている民族です。その最大の原因は、宗教。ミャンマー国民のほぼ9割の人たちが仏教徒なのですが、ロヒンギャの人々はイスラム教徒なのです。

日本国内でも宗教の問題が最近クローズアップされていますが、「人を幸せにするため」に存在しているはずの宗教が、戦争や混乱そして憎しみを生んでしまう原因になっているのは悲しいことです。

そんなロヒンギャの人々を追い続けている久保田徹さんは、すでに自作のドキュメンタリーも多く出しています。大学在学中からロヒンギャの人々に取材するなど、精力的に活動を続けてきた久保田徹さん。

ロヒンギャの人々からの信頼も厚かった久保田さんだからこそ映像に残せたという作品も多いであろうことは容易に想像できます。

久保田徹さんは、自由を奪われ虐げられた人々の「届くはずもなかった声」を拾い、すぐれたドキュメンタリー作品を手掛けています。その評価は国内だけでなく国外でも評価されてきました。

2019年にアジア国際青少年映画祭にて最優秀ドキュメンタリー賞を獲得するなど、監督作も多い久保田徹さん。札幌国際短編映画祭ほか、国内外の映画祭にて出展多数する、実力派の若手映像作家です。

久保田徹さん作品で伝える「ひどすぎる現状」

また、熱心に活動する一方、常に謙虚な姿勢で取材に臨んでいたという久保田徹さん。自分の実績作りのためではなく、心からこの現状を伝えたいという真っ直ぐな気持ちで日々活動されていることが、Twitter投稿からもあふれています。

カメラ越しの相手が涙を流すまで本当に相手のことがわからないって、どれだけ俺は鈍感で無知なんだろうな。こんなに溢れ出ているのに。

久保田徹さんの作品は、YouTubeでも確認することができます。こちらが、 国際平和映像祭の受賞作品「Light up Rohingya」のショートバージョン。

そしてこちらは、久保田徹さんがロンドン芸術大学 大学院(University of the arts London MA)在学中に、アジア国際青少年映画祭にて最優秀ドキュメンタリー賞を獲得した「Empathy Trip」です。

ドキュメンタリーのあらすじについては、こう説明されています。

平和活動家のテトはミャンマーで迫害されるイスラム教徒ロヒンギャのために立ち上がり、難民キャンプへ旅立つ。テロリスト扱いされているロヒンギャを支援することは、命の危険が伴う。テトは一度バングラデシュの空港で拘束され、強制送還されるが、彼の挑戦は続く。

テトの姿に、ミャンマーで拘束された久保田徹さんの姿が重なり苦しくなります。久保田徹さんの作品は、久保田さんの個人サイトから確認することができます。個人サイト経由でしかアクセスできない限定動画も見ることが可能です。

久保田さんの個人サイト・作品ページ

久保田徹さん「ミャンマー・ヤンゴンの拘束場所はどこ?」

デモがあったのは30日午後、ヤンゴン南部にあるダゴン地区。軍のデモ制圧時に逃げ遅れた久保田徹さんが拘束されました。久保田さんが撮影していたのは、「フラッシュモブ」と呼ばれる短時間の抗議デモでした。その最中の出来事です。

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写真:フラッシュモブの様子

公式に報道されているところでは、久保田徹さんの身柄はミャンマー国軍によって捕らえられた後、ヤンゴンにある警察署に収容されたということです。

【バンコク時事】ミャンマーの最大都市ヤンゴンで30日、クーデターで権力を握った国軍に抗議するデモの近くにいた20代の日本人男性が治安当局に拘束された。関係者によると、男性はヤンゴンの警察署に収容されており、日本大使館が早期解放を求めている。(JIJI.COMより抜粋)

「警察署に収容」されていると報道文には書かれています。しかしこれはあくまで、短期の拘束の話です。すぐに解放されないとなると、警察署内での拘束とはいかないでしょう。

在ミャンマーの日本大使館は、「拘束が長期に及ぶ可能性は低い」との見方を示していますが、長期とはどのくらいのことを言っているのかも気になります。

ヤンゴンで拘束された久保田徹さんの解放を求める運動@霞ヶ関、外務省前

久保田徹さんの拘束が分かってから、霞が関の外務省前では久保田さんと親交のある人や在日ミャンマー人の方など大勢が集まりました。拘束された久保田さんの解放に向け、軍に圧力をかけるよう訴えたのです。

久保田さんの解放に向けて、ミャンマー軍に圧力をかけるよう声を上げている一人に北角裕樹さんがいます。北角裕樹さんは、昨年ミャンマー軍に身柄を拘束されていましたが、日本の働きかけにより解放されました。

「自分が拘束された際、多くの人が声をあげてくれたことが解放につながった」

北角裕樹さんは、このように述べています。どうか、北角裕樹さんの時のように政府に対し解放に向け、力を尽くしてほしいものです。

北角裕樹さんも、当時ヤンゴンに住み活動していた日本人ジャーナリストです。ウソの情報を流したという罪などでミャンマー当局に起訴されましたが、日本政府の働きかけを受けておよそ1か月後に解放されています。

そして、拘束されていたのはヤンゴンにあるインセイン刑務所でした。インセイン刑務所は政治犯収容所です。ここは、ミャンマーの民主運動指導者であるアウンサンスーチー氏が収容されたことでも有名な収容所。

また、ミャンマー国軍による軍事政権に従わない活動家たちが収容される場所でもあり「残虐行為と独裁政治の象徴」とも言われている刑務所です。

久保田徹さんと同じ活動をしていた北角裕樹さんが収容されていたのがインセイン刑務所だったということは、久保田さんも同じところに収容されている可能性が高いのではという見方もあります。

「ヤンゴンの警察署」というのは、本当に「警察署」なのでしょうか。

ひどすぎる現状を作品で届けたかっただけなのに…

ミャンマー軍の支持者とみられるSNSアカウントでは、「久保田徹さんがデモに参加している証明」として横断幕を持つ久保田徹さんを映しています。この写真が「軍に抵抗するデモに参加していた」という証明になり拘束されてしまったということです。

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「証明」といっても、この写真が拘束後に撮られたことは久保田さんらの表情を見れば明らかです。デモをする人たちは、こんな表情で活動をしません。横断幕を力なく硬直した表情で持つ姿。久保田徹さんの目が何か訴えているように感じませんか。

既にこの写真は、軍が情報操作目的で拘束後に撮った写真ではないかと指摘されています。

ミャンマーの現状を届ける活動中だった久保田さん。証拠を捏造され、不当に拘束されました。長い間ミャンマー国軍の支配に苦しんでいる国民と一緒に「早く解放してくれ」と、無言の叫びを上げています。

拘束された人の「軍に潰された思い」

ミャンマーでの民間人の拘束は今に始まったことではありません。昨年2月のクーデターで、ミャンマー国軍が全権を掌握してから2022年8月1日で1年半。それでも自由を求めることをあきらめない市民による抗議が続いているのです。

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ですが最近では、拘束していた民主化運動の指導者4人の処刑を強行するなど、民衆に対する問答無用の弾圧が、さらに強まっています。ミャンマー国軍にとって、真実を外に発信する久保田さんは都合が悪かったのでしょう。

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多分ミャンマー軍はスパイとしてマークしていたものと思います。
何か情報が漏れていた可能性があります。

久保田徹さん拘束のチャンスを前もって狙っていたとしたら…と考えるとゾッとします。ミャンマー国軍にとって都合の悪いことは、報道させないということでしょう。

ミャンマー軍がドキュメンタリー映像作家・久保田徹26を拘束。

1万5000人が拘束されている。

既にミャンマーでは、今回のクーデターで多くの犠牲者を出しています。民主化を求める民衆を力づくで抑え込もうというミャンマー国軍の弾圧はエスカレートするばかり。

同国の人権団体によると7月29日までに2138人が弾圧で死亡し、約1万5千人が拘束された。(産経新聞より抜粋)

どうか、日本政府には久保田徹さん解放に向け、力を尽くしてほしいものです。ミャンマー軍は、過去にも信じられないほどの数の民衆を拘束して、目をそむけたくなるような残虐でひどい行為もしているのです。

久保田徹さんが、無事に帰国されますよう願ってやみません。

サンドリーヌのアンテナ

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